【経営者必見】賃上げが節税に?知らなきゃ損する「賃上げ促進税制」を解説!

こんにちは!税理士の北野です。

従業員の給与アップは、優秀な人材の確保や定着、社員のモチベーション向上のために不可欠です。
しかし、経営者様にとっては大きなコスト負担となるのも事実。
「賃上げをしたいけれど、会社の負担を考えると踏み切れない…」そんなお悩みはありませんか?

もし、その賃上げが節税につながるとしたらどうでしょうか。

今回は、そんな経営者様の強い味方となる「賃上げ促進税制」について、特に中小企業の皆様に向けて分かりやすく解説していきます。

「賃上げ促進税制」とは?

この制度を一言で説明すると、

従業員の給与を増やした企業や個人事業主の税負担が軽くなる制度です。

具体的には、前期よりも給与の支給総額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税(個人事業主の場合は所得税)から直接差し引く(税額控除)ことができます。

どれくらいの節税効果があるの?

中小企業者・個人事業主の場合、給与支給増加額の最大45%もの金額が税額から控除されます。

<具体例>

例えば、従業員への給与総額を前期比で500万円増やしたとします。

この場合、最大で225万円(500万円 × 45%)も法人税等の負担が軽減される可能性があるのです。

なお、控除できる金額には「法人税額等の20%」という上限がありますが、もし一度に控除しきれなかったとしても、

その分は翌期に繰り越すことが可能です。

どうすれば最大45%の控除を受けられる?

最大の45%控除を受けるためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

1. 必須要件(賃上げ要件)

まずは、基本となる賃上げの要件です。 全従業員の給与支給総額が前年度と比べてどれだけ増加したかで、控除率が決まります。

  • 1.5%以上の増加:15%の税額控除
  • 2.5%以上の増加:30%の税額控除

2. 上乗せ要件①(教育訓練費)

上記の必須要件を満たした上で、従業員のスキルアップを支援している企業はさらに税制上有利になります。

  • 教育訓練費を前年度と比べて5%以上増加させると、控除率が5%プラスされます。

3. 上乗せ要件②(子育て・女性活躍支援)

子育て支援や女性の活躍推進に積極的に取り組んでいる企業も、さらなる上乗せが受けられます。

  • 以下のいずれかの認定を受けている場合、控除率が5%プラスされます。
    • 子育てサポート企業としての「くるみん」以上の認定
    • 女性活躍推進企業としての「えるぼし(二段階目以上)」の認定

具体的な計算例で見てみよう

実際に数字を使って、どれくらい税負担が軽減されるのかシミュレーションしてみましょう。

【ケース】

  • 前期の給与総支給額:4,500万円
  • 当期の給与総支給額:5,000万円

この場合、給与の増加額は500万円です。 給与の増加率は、

500万円(給与増加額) ÷ 4,500万円(前期給与総額) = 約11.1% となり、「2.5%以上増加」という必須要件を満たしていることがわかります。

この時点で、上乗せ要件に該当しなくても

30%の控除率が適用されます。

気になる税額控除額は…

500万円(給与等増加額) × 30%(控除率) = 150万円

このケースでは、給与を500万円増やしたことで、

法人税の負担が150万円も軽減される結果となりました。

よくあるご質問 Q&A

最後に、この制度についてよくいただくご質問にお答えします。

Q. 役員報酬を増やした場合も対象になりますか?

A. いいえ。法人の場合、役員やその親族への給与は、この制度の計算対象外となります(個人事業主の場合は事業主の親族への給与が対象外です)。

Q. 判定は「会社全体の給与増加率」で見るのですか?

A. ご認識の通りです。 従業員一人ひとりの給与増加率ではなく、会社として支払った給与の総額が前年度と比べてどれだけ増えたかで判定します。

そのため、新たに従業員を雇用して給与総額が増えた場合には、対象となるケースがほとんどです。

Q. 適用を受けるために事前の申請は必要ですか?

A. 事前の申請は不要です。

ただし、決算申告(確定申告)の際に、本制度を適用するための申告書類(別表)を添付して、適切に申告する必要があります。

まとめ

「賃上げ促進税制」は、従業員の待遇改善が会社の節税に直結する、中小企業にとって非常にメリットの大きい制度です。

「自社が対象になるか知りたい」「具体的な手続きが分からない」など、ご不明な点がございましたら、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。

専門家として、貴社の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。


(注1)本記事は、令和7年9月時点の税制をもとに作成しております。
(注2)分かりやすさを重視し、用語の厳密性を一部捨象しております。

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