世の中には、さまざまな営業に関する指南がある。
「営業の極意」
「営業のコツ」
「営業のいろは」
そういった内容が書かれたハウツー本や、noteは、星の数ほどひしめき合っている。
しかし、「しつこい営業を上手にかわす方法」などが書かれた「営業のかわし方」についてのコンテンツは、驚くほど数が少ないのが現状だ。
そこで今回は、連日の営業電話と戦い続けた私の実体験と持論を交えて、「営業のかわし方」をしたためたいと思う。
事の発端は、私の開業に遡る。
2025年5月7日、北野雄大税理士事務所は産声を上げた。
「お客様からのご相談を、少しでも受けやすくしよう!」と意気込んだ私は、ホームページに自身の個人の携帯電話番号を大々的に掲載した。
しかし、これが諸刃の剣だった。
鳴り響く電話の向こうにいるのは、悩めるお客様……ではなく、その大半がノルマに追われる屈強な営業マンだった。
ホームページの公開直後から、文字通り「ひっきりなし」に営業電話がかかってくるようになった。
SEO対策、動画広告、SNSコンサル、求人広告、そして詳細不明の謎のコンサルティングサービス。
毎日何件も電話を受ける中で気づいたのは、「少しでも話を聞いてみたい」と思わせるような魅力的な営業が、驚くほど少ないということだ。
私自身、過去に営業職を経験していた時期がある。
そのため、あまりに拙い営業トークを聞かされると、つい元営業マンとしての血が騒ぎ、「自分だったらもっとうまくアプローチするのに……」と心の中で勝手にダメ出しをする日々が続いた。
「優しさの塊」と「Google口コミの恐怖」
会社員時代とは違い、私はもう経営者だ。
自分の限られた時間を何に投下するかは、今後の事業の命運を大きく左右する。
無駄な営業電話に付き合っている暇などないはずなのだ。
しかし、悲しいかな。
根が「優しさの塊」でできている私は、相手の話を途中で遮ったり、「不要です!」とピシャリと電話を切ったりすることが、最初はできなかった。
「こんな田舎の開業初期の税理士に、一体何を売り込んでくるんだろう」という謎の興味本位も手伝って、何件かアポを受け入れて説明を聞いてしまったことすらある(当然、今の私には必要のないものばかりで、完全に時間の無駄だった)。
さらに、不安を感じやすい小心者の私は、こうも危惧していた。
「冷たく電話を切り捨てて相手の恨みを買い、Googleの口コミに『冷酷無比な税理士です!星1つ!』と報復レビューを書かれたらどうしよう……」と。
そんな理由から、ただ愛想笑いを浮かべながら「あ、大丈夫です〜」と濁すことしかできなかったのだ。
私を覚醒させた「恐怖の11時」事件
しかし現在、私は契約するつもりが全くない営業に対しては、一切の躊躇なくピシャリと電話を切ることができる。
なぜ、劇的に「かわし方」をマスターできたのか。
それは、私の記憶に深く刻まれている、ある一本の最悪な電話がきっかけだった。
ある日の朝、電話に出ると、いきなり見知らぬ男が元気よくこう言い放った。
「北野さん! 今日の11時からよろしくお願いします!」
社名も名乗らず、いきなりのスケジュール確認。 私は一瞬で血の気が引いた。
(しまった……! 既存のお客様とのアポイントをすっぽかしてしまったのか!?)
焦りに焦った私は、ひたすら平身低頭、震えるような丁重な口調でお伺いを立てた。
「も、申し訳ございません! どのようなご予定でしたでしょうか……?」
すると相手は悪びれる様子など微塵も見せず、流れるように自社商材の押し売りを始めたのだ。
要するに、「すでにアポイントが入っているかのように装って、焦らせて無理やり話を聞かせる」という、極めて古典的かつ悪質な営業手法だった。
安堵した次の瞬間、私の内側から静かな、しかし確かな怒りが湧き上がってきた。
私は相手のトークを冷たく遮り、ハッキリとこう告げた。
「あなたのその営業手法は、最悪ですよ。人の時間を奪い、不信感からスタートする関係に、誰がお金を払うと思うんですか?」
相手は言葉に詰まった。と思いきや、「あ~ダメでしたかね~~」と言ってへらへら笑っていた。
私は、「うん、そのやり方は普通に印象悪いでしょう、それやったら普通にアポとるほうがいいんじゃないですかね」と伝え、ガチャン!と電話を切った。
この日を境に、私の「良い人キャンペーン」は完全に終了したのだ。
さて、ここからが本題の「営業のかわし方」である。
連日のように猛烈な営業電話を浴び続けた私が導き出した結論は、以下の3点だ。
1. 最初の10秒で「営業」と見抜き、主導権を渡さない
有能な営業マンほど、最初は営業感を消してくる。
しかし、「ホームページを見まして」「代表の方はいらっしゃいますか?」という定型句が出た瞬間に、警戒レベルを最大に引き上げるべきだ。
相手のペースで話を展開される前に、「営業のお電話ですか?」とこちらから切り込むことが重要になる。
2. 曖昧な断り文句は、相手への「餌」になる
「今は忙しいので」「間に合っています」「またの機会に」 これらは一見すると断っているように思えるが、営業マニュアルにおいては「切り返しトーク」の絶好の標的となる。
「いつならお時間ありますか?」「現在お使いのサービスと比較させてください」と食い下がられるだけだ。
最も効果的なかわし方は、シンプルかつ無機質に「不要です。今後のお電話もご遠慮ください」とだけ伝え、静かに電話を切ることだ。
3. 「良い人」になるのをやめる
営業電話をかけてくる相手も仕事である。
冷たくあしらうことに罪悪感を覚える人もいるだろう。
しかし、私たちの時間は有限であり、目の前のお客様のために使うべきものだ。
不要な提案に付き合う時間は、1秒たりともない。
「断ることは、自分と自分の顧客を守るための正当な防衛である」と割り切る心の強さが必要だ。
おわりに
電話の向こうの相手を尊重する気持ちは、社会人として当然大切だ。
しかし、それは「最低限の礼儀や誠実さ」という土俵に上がってきた相手にのみ向けられるべきものである。
私自身も一人のビジネスマンとして、そして税理士として、自らご提案を行う場面は当然ある。
だからこそ、「相手の時間を奪うだけの不誠実なアプローチ」は絶対にしてはならないと、鳴り止まない営業電話の山から学ばせてもらった。
北野雄大税理士事務所は、これからもお客様との「誠実な対話」を第一に、日々の業務に向き合っていきたいと思う。
(※もちろん、新規のお客様からの税務・会計に関するご相談のお電話は、いつでも大・大・大歓迎である!!)
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